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お子さんの背中をよくみてあげてください。ゆがみがあれば側弯症かもしれません!

  • 2021年04月27日

背骨(脊柱)は前からみると本来ほぼまっすぐなのですが、これが左右に曲がっている状態(側弯)を脊柱側弯症とよんでいます。なかでも成長期に身長の伸びとともに急に曲がってくる場合がありこれを思春期特発性側弯症といいます。

思春期特発性側弯症は側弯症のなかでも最も多く、特に女児に多くみられます。原因は不明とされてきましたが最近では側弯症と関係する遺伝子がいくつかあることがわかってきています。体の姿勢や運動の有無など後天的な要因はほぼ関係ないと言われています。

はじめは無症状のことが多く外見的にもわかりにくいためある程度すすんでからわかることも多いです。そのため小学校や中学校、特に側弯になりはじめる小学校5年生から中学校2年生の間で健康診断や運動器健診で背中のゆがみや骨盤の傾き、また体を折り曲げた状態での肩や肋骨の高さの違いなど見た目の異常から発見しようとしていますが、主観的な判断となりある程度進行してこないとわかりにくいことが多いです。

そのためより客観的に評価できるようモアレ検査という特殊な機器で背中の写真を撮る方法があるのですが検査のための費用がかかりますのでまだ実施されている自治体は限られており、たとえば大阪市の小中学校では基本的に導入されていません。そのため大阪市の学校に通っているお子さんは側弯症の発見が遅れてしまう可能性があり非常に心配な状況です。

学校健診などで側弯症の可能性があるという診断をうけますと整形外科でくわしく調べてもらって下さいという流れになります。診断は通常レントゲンで行いますがこの時頭の骨の下から骨盤の骨まで1枚のレントゲンに撮る必要がありますのでこのような長い範囲の撮影ができる器械がある整形外科でなければ診断してもらうことはできません。もし側弯症の疑いとなり整形外科で診てもらって下さいとなった場合背骨全体のレントゲンがとれるかどうかお問い合わせの上受診していただくことをおすすめいたします。

ご家庭でもぜひお子さんの背中のようすをよくみてあげてください。

まっすぐ立ってもらい背骨のゆがみがないか、また肩の高さや肩甲骨の高さの左右の違いやウエストラインの左右差がないかをみてみましょう。次におじぎをしてもらい背中の肋骨の高さに左右差がないかどうかみてあげてください。気になるところがありましたら側弯症をみてくれる整形外科への受診をおすすめいたします。

治療についてくわしいことは患者さんの状態によってことなりますので主治医の先生とご相談いただきたいのですが、基本的には軽度から中等度の側弯症ではほとんどの方が定期的な経過観察を受けることになります。日常生活は運動なども含めて特別な制限はありませんので今まで通りふつうに過ごしていただきます。体の柔軟性をよくする体操などはありますが、接骨院などでのマッサージや徒手的な矯正治療などで側弯症が改善することはありませんのでご注意ください。大事なことは成長が終了する、身長の伸びが止まるまでは側弯症が進行する可能性がありますので、はじめは軽症だからと言って受診間隔があいてしまったりやめてしまうと後で側弯が進んでしまっていたということがありますので、必ず定期的な受診をお願いいたします。側弯がある程度進行し、まだ成長の途中であれば装具治療を行う場合や重度の側弯症の場合、手術をおこなうこともあります。

くりかえしますが、お子さんの体の状態、背中のようすを時々みていただき、特に大阪市の小中学校に通われているお子さんは学校でモアレ検査がありませんので注意してみていただき、何か気になるとことがあれば側弯症の診療をおこなっている整形外科への受診をおすすめいたします。