こどもが急にうでを動かさなくなったら肘内障かもしれません。
- 2021年05月23日
こどもさんが手を引っ張られてしまったり、何かの拍子にうでをひねってしまったあと、急に痛がってうでを動かさなくなることがあります。肘内障と呼ばれていますが、肘の骨を押さえているじんたい(輪状靱帯)が骨(とう骨)からずれてしまうことでおこります。
よく脱臼したんじゃないですかと聞かれたり、前に脱臼しましたとおっしゃる方がいますが関節がずれたりするわけではないので脱臼ではありません。
典型的な場合、肘内障になったあとお子さんは肘を伸ばしてだらんとたらして、反対側の手で手首のあたりを抑えていますので、ご家族のかたは手首を怪我しているのではないかとおっしゃったり、うでをあげれないので肩が脱臼したのではと言われることが多いです。お子さんの年齢も赤ちゃんから2、3歳くらいまでが多いので正しく痛い場所を言えません。肘を曲げるのをいやがるのと同時に手のひらを前に(上に)むけることができないのが特徴です。
肘内障では肘が腫れたりすることはなく見た目には変わりありません。腫れたり内出血している場合は肘の骨が骨折していることが多いです。
肘内障の場合、手をつないでいて引っ張られてしまったりあそんでいてうでをひねったりすることでなってしまうことが多く、赤ちゃんでは寝返りの際うでがねじれておこることがあります。
お子さんが転んでしまい肘を打ったり手をついた時は骨折していることがあります。もちろん大人がみていなくてどうしてなったわからないことも多いです。
痛くなった時の状況やうでの状態などから肘内障と判断します。レントゲンでは異常はありませんので診断できませんが骨折していないか確認することができます。最近ではエコー検査で肘内障と診断することができるようになってきましたが、ある程度経験がないと難しいです。
治療はずれた靱帯を整復して戻します。肘のあたりをおさえながらうでを内側にひねったり、外側にひねって肘を曲げることで整復されます。
肘内障になりすぐであれば内側にひねるだけで簡単にはいりますが、夜に肘内障になり翌日受診をして時間がたってしまうと簡単には整復できず何回か整復操作を繰り返す必要があることがあります。
ずれた靱帯がもとにもどりちゃんと整復されると、やがて痛みもなくなり自然に動かすようになります。肘内障になってからなおしてもらうまでに時間がたってしまった場合すぐには動かさない場合もありますが時間が経つにつれ使うようになります。数時間たっても変わらない場合整復されていないか骨折など肘内障ではないのかもしれません。
整復されてお子さんもしっかり動かすようになったら安静にしたり固定したりする必要はまったくありません。いつも通り過ごしてもらい遊んだりお風呂なども問題ありません、
一度肘内障になったからまたなりやすくなるということはないようです。たまに反対側がなったり2回3回と肘内障になるお子さんがいますが、これはもともと関節が柔らかめで靱帯がややゆるく肘内障になりやすいからではないかと考えます。
ただ 肘内障になったお子さんもそうですが、どのお子さんも急に手をひっぱったり、手をつないでぶら下がって遊んだりはなるべくさけてください。お子さんが力を入れている場合は基本的には肘内障になることはありません。ある程度の年齢になれば靱帯もしっかりして筋肉もついてくるため肘内障になることはなくなりますのでご安心ください。